裁判所が判断する解雇の有効性
従業員を解雇する場合、従業員に非があることは当然のことでしょう。
しかし、それだけで解雇が有効とはなりません。
平成28年2月26日に判決の出た裁判例を紹介します。
事件の概要:従業員Aは、社内情報を外部の漏らしインサイダー取引を行ったとして証券取引等監視委員会の勧告を受け、報道もされた。会社は就業規則の解雇規定にある「会社の名誉・威信を傷つけた場合」に該当するとして解雇処分とした。従業員Aは解雇を無効と主張し、また解雇は不法行為であるとして慰謝料1000万円を求めた。
判決:裁判所は、従業員の行った行為は、会社に対する背任行為であり、解雇事由に該当する。
しかし、
会社側の情報漏洩に対する注意・指導がなかった。
従業員Aに弁明の機会を与えなかった。
として、会社側の解雇権濫用として解雇無効とした。
しかし、従業員Aの行為は解雇事由に該当するものとして、会社が行った解雇自体は不法行為に該当しないとして慰謝料の請求は認めなかった。
少しややこしいですが、要するに、
従業員の行為は解雇事由に該当するけど、解雇のやり方がだめですよ。
ということです。
解雇するには、「事由(理由)」と「適切な方法」が必要ということです。
解雇したい従業員が出たならば、専門家に相談しましょう。
勝手に判断して「クビ」とすると後で大問題になります。